HOME研究室の様子メンバー技術・機器紹介イベント研究成果

遺伝子資源の保存開発研究

精子や卵子を室温で長期間保存できるようになれば、人の不妊治療や農業に貢献するだけでなく、遺伝資源として永久保全が可能になります。果たして動物の精子や卵子を室温で保存することは可能なのでしょうか。我々は世界で初めて、精子を凍結乾燥することで室温で保存することに成功しました。現在は卵子や体細胞の凍結乾燥保存に挑戦しています。

  
フリーズドライしてパウダー状になった精子    
 
凍結乾燥した精子から産仔作出 哺乳類の細胞は凍結乾燥するとすべて死んでしまいます。しかし我々は世界で初めて、凍結乾燥した精子から産仔を得ることに成功しました。 一流科学雑誌Nature Biotechnology に掲載された。

Wakayama et al.
Nature Biotech 1998
 

Kamada et al. Sci Rep 2018
凍結乾燥技術を改良した結果、机の引き出しの中(左)で1年以上保存しても赤ちゃんを作れるようになりました(中央と右)。
   
 
驚いたことに、凍結乾燥した精子は非常に強い温度耐性を獲得します。-196℃にも、100℃近い温度にも耐え、受精すると健康な赤ちゃんが生まれてきます。
 Wakayama et al. Sci Rep 2019
 

割れる危険性のあるガラスアンプルビンに代わり、薄いプラスチックシートで凍結乾燥精子を保存する方法を開発しました。名刺ホルダーに入れれば、これ1冊で数百から数千匹のマウス精子が管理できるようになります。また、ハガキに張り付けて国内輸送することも可能になりました。

  Ito et al., iScience 2021
当研究グループでは、貴重な動物の遺伝資源を、地球規模の大災害が起こっても安全に長期間保存出来る技術の開発を目指しています。


若山研究室のホームページ
https://abc.yamanashi.ac.jp/LSHP/Wakayama%20lab/index.html