胚発生能研究
受精卵の質(胚の発生能)を見極める。つまり、生まれて来られる受精卵とそうでない受精卵を母体に戻す前に選別することを目的とした研究を行っている。このような技術確立が実現すれば、不妊治療や畜産の現場で流産の抑止し、出生率の向上、家畜生産の効率向上などへの貢献が見込まれる。独自に開発したzygotic Fluorescence Recovery After Photobleaching (zFRAP)法を用いて、この課題に挑戦している。zFRAPでは、DNAが巻きつくヒストンと緑色蛍光タンパク質(GFP)とを融合させた”GFP-ヒストン”を受精卵に発現させることで、DNAの緩みを調べることが可能となる。しかも、受精卵にダメージを与えることなく生かしたまま解析できる。
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♂:精子由来の核 ♀:卵子由来の核 |
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共焦点顕微鏡でのzFRAP解析の様子 | |||
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直径0.1 mm以下で髪の毛の断面積程の受精卵。その内部の核に含まれるDNAは、共焦点顕微鏡を使うことで観察が可能になる。 | ||
![]() zFRAPでは核内にレーザーを当ててDNAの緩みについて調べる。 (赤い□がレーザー照射部位) |
![]() 強烈なレーザー照射を 行っても胚発生に 悪い影響はない。 |
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(上)zFRAPした胚から生まれた赤ちゃん (下)成長した赤ちゃん | ||
zFRAPした胚を母体に戻すと産仔が得られ、成長も正常であった。zFRAPに顕著な毒性がないことがわかった。
Ooga et al PLOS ONE 2017) (Ooga et al J Vis Exp 2018) |
DNAの緩みが発生能の指標となるのかや、受精卵でのDNAの緩みを制御する仕組みなどを調べています。
若山研究室のホームページ
https://abc.yamanashi.ac.jp/LSHP/Wakayama%20lab/index.html